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2019.09.28 Saturday

蓮井幹生移動写真室

 

 

 

心配した天気にも恵まれて、その公園は柔らかな光に包まれていた。日野の住宅街にある小さな小さな森林公園。

今日はここで Iさん親子を撮影する。

今年の5月に友人のご夫婦に素敵な赤ちゃんが生まれた。イギリス人のご主人との間の初めての女の子だ。彼女はお産間際に連絡をくれて、是非とも出産直前の記念写真をとってほしいと撮影を依頼してくれたのだ。

僕はフィルムハッセルとデジタルカメラを持って祐天寺にあるご自宅に伺った。そしてリビングでお二人のポートレートを撮影した。だが、もう来週には生まれてくるのだから、退院したら同じここで、今度は生まれてきた赤ちゃんとの三人のポートレートを撮りましょうと提案した。そして、その2週間後にそれは実現した。仕上がった二枚の写真は同じ場所で撮られているが、赤ちゃんがお腹の中とお母さんの腕の中。素敵な記念写真が同時に生まれた。

その写真を見た彼女の友人が、今回自分たち親子の写真を撮影してほしいと連絡をくださった Iさんだ。

「元々はモデルをしていたのですが、出産をして一気に太ってしまって。その後、堅気の仕事(笑)をしながら、この子を必死で育ててきました。その子が9月の26日に満5歳なのです。小さい時からいつも一緒に遊んだ公園でお誕生日の記念写真を撮ってほしいんです。」

ぼくは早速その公園を下見した。想像したよりもずっと小さな公園だったが、そこでいつも夕方にかけて遊ぶ親子の姿を想像した。それはとってもいい風景だと思った。

9月の26日。午後の2時に公園で待ち合わせをする。

僕が到着した時には、親子はすでに来ていて虫除けのスプレーをかけあっていた。急な暖かさのせいか、蚊が多い。

親子はいつものように遊んだり話したり、カメラを意識することなく時間を過ごしている。

僕にも、こんな小さな子供がいた時代がある。もう日が暮れてうちに帰りたいのに、娘はもう一回、もう一回とブランコをねだる。そろそろ帰らないとと、急かせども一向にやめる気配がない。その娘も来年は成人する。撮影はちょっと甘酸っぱい自分の過去の記憶と重なった。

そろそろと声をかけ、下見して決めておいたスポットで数カットのポートレートを撮影した。5歳の娘さんの足がいっぱい蚊にさされてしまっている。もうやめないと。「お疲れさまでした。おしまいです」

ぼくはスタジオに戻り、まずはデジタル分からセレクトを始めた。思った通りのキュンとくるカットがそこにしっかりと記録されていた。それを少しだけ色修正をして、9点を選び、LINEでご本人に送った。

すぐに返事はきた。

「感激です。」その一言は、何よりも嬉しい。15年後、娘さんが成人する時に、この写真を再び見て、色々な記憶を蘇らせてくれたらと思う。次回は5月に撮影したその生まれたての赤ちゃんとの家族写真をご紹介したいと思う。

 

 

ぼくの新しいプロジェクトは、この蓮井幹生「移動」写真室ともう一つ、蓮井幹生「肖像」写真室だ。肖像の方は、11X14や8X10などの大きなフィルムのビューカメラで丁寧にその人らしい肖像写真を撮る仕事だ。移動の方は、今回のようにその方の人生の一端をお話で伺いながら撮影場所を決めて、ドキュメントでその記憶の時間を写真として紡ぐ仕事だ。

もうすでに何人かの方からご予約をいただいているが、それぞれの人生や喜びと悲しみ、お人柄にめぐり合うのがすごく楽しみである。

 

蓮井幹生写真室

 

 

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