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2019.09.30 Monday

蓮井幹生移動写真室2

 

ある広告のお仕事で、出来るだけ悲しい顔をして泣いてもらうというオーディションだった。

Lさんは、一番自然にじっと歯を食いしばって泣いてくれた人だ。もちろん河べりの土手での本番シーンでも見事に泣いてくれた。

しかしご本人はいつも陽気で明るい自然な女性で、ヨガのインストラクターもするほど、芯のある方だ。

その後プライベートでも、たまにご飯に行こう!という関係で仲良くしてもらっていた。

ある日、「蓮井さん、元気ですか?私、結婚しました」という連絡をもらった。「えー、よかったね!!どんな彼?」

紹介してくれた彼はイギリス人で、日本が大好きな人で、ずっと日本に暮らしたいというなかなかの好男子だった。そして間も無く、赤ちゃんが生まれまーすという幸せな連絡が来た。「写真を撮って欲しいんです。」

「もちろんだよ!」

 

妊娠10ヶ月目、もう生まれそうという予定日の一週間前に、祐天寺の綺麗なご自宅で撮影することにした。

リビングには大きな正方形の窓があり、そこがまず目に止まった。「この窓の前がいいね」彼女たちも同意してくれた。

午前中の柔らかな光の中でゆっくりとハッセルブラッドで撮影した。モデルをしていた彼女も、久しぶりに見るポラロイドに懐かしいと反応していた。今はポラを撮るということなく、撮影すればその場でモニターに映像が映し出される時代。しかしフィルムの場合はこのポラが撮影を確認できるただ一つの方法である。その日、数本のカラーとモノクロで撮影を終えた。

帰る時に「赤ちゃんが生まれたら同じ窓の前で記念写真を撮りましょう」と提案すると、是非是非!ということになった。

それから1ヶ月が過ぎ、生まれました!という連絡をいただいた。健康でビッグな女の子です。

その声は弾みまくっていた。

6月のある日、病院から退院してきたLさんと産休をとった彼、そして生まれたばかりのベービー。

決めてあったように、その真四角の窓の前に立ってもらって、記念写真を撮影した。

あれからたったの1ヶ月しか経っていないのに、Lさんはその長かった綺麗な髪をバッサリと切り、すでにマリアのように優しい綺麗なお母さんになっていた。女性は本当にすごい。そして美しい。

いつまでも、お幸せに。と、僕はラボに向かった。

 

数日後、ネガの現像があがり、好きなカットをプリントして持って伺うと、本当に嬉しそうにじっと写真を眺めて「大切にします!嬉し過ぎます!」と言っていただいた。そして先日、額装された数点の写真は、彼女たちの家の壁に飾られて、その写真が送られてきた。

嬉しかった。

あらためて、いつまでも幸せにね。そしてまた来年も撮ろう。

コメント
蓮井さん、何とも嬉しい記事を書いてくださって、とっても幸せな気持ちです。そして、蓮井さんが並べた2枚の写真。面白い。写真家のフレームの収め方から、シャッターをきるその瞬間の表情を捉える技、蓮井さんの感性に感動しっぱなしです。出会えてよかった。これからも、家族一同どうぞ宜しくお願い申し上げます。また撮ってください!
  • Lira
  • 2019.09.30 Monday 22:24
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